お風呂の入り方は、人それぞれに好みがあるでしょう。熱めのお湯でサッと入浴、ぬるめのお湯でゆっくり入浴、シャワーだけ、などなど。
では、『疲れを取る』のに適した入浴方法はあるのでしょうか。
ここでは疲労回復の効果を期待できる入浴方法やタイミング、入浴時間、そして入浴による効果について紹介していきます。
疲れの取れる入浴方法
(1)お湯の温度は38~40度で
人の身体の働きをコントロールしている自律神経には交感神経と・副交感神経の2種類があります。
活発に活動しているときには「活動モード」の交感神経が優位に働きます。それとは反対に、身体を休め、疲れの取れる「休息モード」の時には副交感神経が優位に働きます。
40度以上の湯温では、交感神経が優位になってしまい、身体と精神を休ませることができません。
身体と精神をリラックスさせ休ませる副交感神経を働かせるために38~40度のぬる目のお湯で入浴するようにしましょう。
(2)入浴のタイミングはいつが良いのか
副交感神経を優位にした状態で布団に入ることが快適な眠りにつながり、それが疲れを取ることにつながります。
また人は体温が下がり始めると眠くなります。
なので、寝る1時間前を目安に入浴を開始し、お風呂から出たら30~1時間後には布団に入れば、入浴で温まった体温が下がり始めており心地よく眠りにつくことができます。
そうすることで、寝つき良く深い眠りとなることで、疲労回復により効果的です。
また食後すぐの入浴は内臓への負担が大きく、かえって身体を疲れさせてしまいますので避けましょう。
(3)お湯につかる時間はどれくらいが最適なのか
人の体温より少し高い38~40度のお湯で、ゆっくりじっくりと身体を温めていくことで「休息モード」の神経、副交感神経が優位に働きます。
入浴時間は20~30分くらいかけて入浴しましょう。
また、お風呂でも体温が上がりますので汗をかいています。水分不足になると「疲れ」を感じる原因ともなりますので、入浴前には1杯の水分をとるのを習慣にしてください。
お風呂場に水の入ったペットボトルを持ち込んで適度に水分補給をするのも効果的です。
そのほか、音楽を聴いたり、入浴剤やアロマを楽しんだり、マッサージをしたりしてリラックスした時間を過ごすと入浴効果も高まり、長湯を楽しむことができるでしょう。
入浴による効果とは
(1)温熱による血行促進効果
湯船につかって身体が温まると、皮膚の毛細血管や皮下の血管が広がり、血行が良くなり、栄養や酸素が全身へと運ばれ、身体の疲労回復を促進します。
体温を調節しようとして発汗作用が働くことにより、体内にたまった老廃物が排出されます。それと同時に新陳代謝が促され、疲労物質が排出されるため、コリがほぐれ、疲れも和らぎます。
ただ水分不足の状態では循環がよくなりにくいので、入浴前・入浴中の水分補給を意識してください。
また、入浴には内臓の働きを助ける作用、自律神経の働きを整える作用もあります。
面倒だと思わず、ゆっくりじっくりと湯船につかることが疲労回復の近道といえます。
(2)水圧によるマッサージ効果
湯船につかると、通常の空気に包まれている時よりはるかに強い圧力がかかります。全身にかかる圧力は約520㎏とも言われています。
この水圧によるマッサージ効果で下半身にたまった血液を押し上げるので、足の疲れやむくみを取る作用が期待できます。
また心臓の動きやリンパの流れも活発になりますので、循環器系や心肺機能の機能改善にも役立つと考えられています。
(3)浮力によるリラックス効果
水中では浮力がはたらいて、身体が受ける体重は普段の9分の1から10分の1ほどになると言われています。
起きている間中、体重を支えているお尻や太もも、腰などは、湯船につかっている間は緊張から開放されます。
緊張していると脳へ刺激が与えられるため、疲労を感じますが、その刺激が減少することで、心もリラックス状態へと導かれていきます。